税金を払いたくない気持ちは万国共通。しかし、最近発表されたデンマークのオーフス大学による研究によれば、人は“誓う”だけで正直になれるらしいのです。
研究チームは、イギリスとアメリカの2万1,000人以上を対象に、税金逃れゲームを用いて実験を行いました。オンラインでタスクをこなしてお金を稼ぎ、そこから35%の税金を申告して納める形式。しかし、誰も見ていないため「ちょっとくらいサバ読んでもバレないよね?」とズルできる仕組みです。
さて、ここに登場するのが「正直誓約」です。参加者は21種類の誓約文のうち1つを求められるか、何も求められないかのどちらかに振り分けられました。誓約文は、「私は正直者です」といった自己肯定型から、「私たちの社会は信頼で成り立っている」といった社会派メッセージまで幅広いラインナップ。
しかし、興味深いのは誓約内容によって効果に差が出た点です。21種類のうち11種類は効果ゼロ。「私は正直者だ」と言っても、心の中で「そうは言っても今回は…」と自己都合解釈が炸裂するようです。
一方、効果があった残り10種類には共通点がありました。特に効果抜群だったのが、「私は最終収入を正直に報告することを誓います」という、ズバリ収入申告に直結した誓約。これにより、税逃れによる損失は半減したそうです。
また、「報告は正直か、不正直かの二択である」といった明確な表現や、「不正直に申告すると赤十字社への資金が減ります」といった具体的な社会的影響を示す誓約も効果的でした。「曖昧に逃げ道を残す誓約」よりも、「君、ここで嘘ついたら赤十字に迷惑だぞ」とピンポイントで責任を突きつける方が、ズルしようとする脳を直撃するようです。
さらに面白いのは、誓約方法によっても違いが出た点。「チェックボックスにポチッ」より、「誓約文を自分でタイプしろ」と言われた方が効果大。指を動かすたびに脳に「お前、これ本当に守るんだな?」と確認作業が入るためでしょう。
ただし、「誓約はタイミングが命!」…とはならず、報告前でも後でも効果に大差なし。ただ、報告直前に誓約すると若干効果が上がるとのこと。「直前に念押し」作戦は、ズルしようとする瞬間に冷水を浴びせる感じですね。
もちろん、誓約したからといって完全に嘘がなくなるわけではありません。この実験でも、25%は収入をごまかし、そのうち3割は「収入ゼロ」と堂々と嘘をついたとか。「誓約?そんなもん知らん!」と開き直る猛者もいるようです。
とはいえ、政府が徴税で頭を悩ます中、「誓約一つで税収アップ」ならコスパ最強。「罰金!監査!」と威圧するより、「はい、誓約どうぞ」の方が心理的プレッシャーが効くのかもしれません。
例えば、日本でも確定申告書類の最後に「私は正直に書きました」とチェック欄がありますが、どうせなら「赤十字の資金が減ります」とか「脱税で親が泣きます」とか具体的に書いてみたら効果アップ…かも?
この研究結果は、税金以外にも応用できそうです。会社での経費申請や出勤記録でも、「私は正確に記録しました」とタイプさせる。もしくは、忘れ物防止に「私は必ず家の鍵を持ちました」と出かける前に誓約させる。誓約社会、日本爆誕です。
とはいえ、「誓ったから大丈夫」と安心しすぎると、かえって油断する可能性も。「誓約は万能じゃない」「最強なのは自分を律する心」と肝に銘じつつ、たまには「誓います!」と真面目に言ってみるのも、人生のスパイスになるかもしれませんね。
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